強行出場の感動の裏にある代償~トップ選手の「美談」を判断基準にしてはいけない理由~

こんにちは!
アスレティックトレーナーズルーム BASE代表の
須川 雄介(すかわ ゆうすけ)です。

このブログでは、スポーツ現場で
アスリートのコンディション作りをサポートする専門家
”アスレティックトレーナー”が、
アスリートや運動愛好家、また
そのご家族や指導者の方々に役立つ情報を
発信していきます!

第56回は
ケガした時に練習やプレーを
続けるか?の判断について

について

目次

トップアスリートの強行出場は
単なる美談ではない

今、ミラノ・コルティナオリンピックが
盛り上がっていますが、
大きな大会やプロスポーツなどでは
テレビやニュースで
こういった報道が流れることがあります

「大ケガを抱えながら出場」
「本来なら欠場レベルのケガで

強行出場」

こういった話は「根性」「魂」「伝説」として
語り継がれ、胸を打つストーリーですが…

その姿を

そのまま育成年代やアマチュア選手が
マネしてしまうのは、とても危険です!

そこで今回は、
スポーツ現場の安全管理や
ケガや事故の応急処置の専門家
アスレティックトレーナーが、
ケガした時に
練習やプレーを続けるか?の判断
について解説します!

アスリートはもちろん、
保護者・指導者の皆さんにも
絶対に理解しておいて欲しい内容です!

強行出場には、必ず“代償”がある

当たり前のことですが、
怪我が治りきらないまま
無理してプレーを続けると、

・何度も同じケガをくり返す
・別の場所まで痛める
・痛みがずっと残る
・思うように動かせなくなる

リスクがあります

そしてこの無理してプレーを続けた場合では、
時間が経てば・改めて治療をすれば
必ず元通り競技に復帰できるとは
限りません…

本来たどるべき
回復のステップを踏まなかったことで、

・本来より長い治療や
 リハビリが必要になる
・思うように

 パフォーマンスが戻らない
・競技を続けられなくなる
・後遺症が一生残る

可能性が非常に高くなってしまいます…

しかしトップアスリートの場合、
目の前のその試合に
人生や生活がかかっている
状況であることがほとんど

そのため、
こういったリスクを承知の上で
その”代償”も受け入れる覚悟で
強行出場しているのです

トップアスリートの強行出場の
判断には専門家チームが関わっている

トップアスリートがプレーしている環境では
ほとんどの場合、技術コーチ以外にも

スポーツドクター

コンディション作り・リハビリの専門家
(アスレティックトレーナーや理学療法士など)
がサポートしています

ケガや病気の際にはこういった専門家が
医学的な検査や
細かいコンディションチェックを行いながら

・どれくらい重いケガか?
・プレー可能な状態か?
 どこまでなら動いていいか?
・出場しても悪化しないか?
・悪化した時のリスクは?
 その後どのように治療していくか?

などを専門的な知識をもとに
本人やコーチと話し合いながら決めています

そのため強行出場するリスク
目の前の試合の重要性
その選手の将来
比較して、

軽そうなケガでも欠場することもある
重そうなケガでも出場することもある

先日プロ野球でこのようなインタビューが
話題になっていました

もちろん最終的な決定権は
本人や監督・コーチにありますが、
外から見ただけでは分からない事情があることも理解しておかなければならないですし、
アマチュアアスリートであっても
出たい・出してあげたいという
気持ちだけではなく
スポーツドクターや専門家の判断を
もとに決めなければなりません

ニュースに出る“ケガの名前”だけでは本当の状態は分からない

ニュースでは
肉離れ・骨折・靭帯損傷などと
”ケガの名前”で簡単に報道されますが…

例えばひとくちに肉離れといっても

また捻挫といっても

というように、
同じ”ケガの名前”でも
その時々で状態は全く違います

さらに言えば、
報道が正確に詳細まで伝えられているとは
限りません

分かりやすく伝えるために
表現を簡単にしたり内容がやや不正確
ケースも多いです

つまり我々専門家も含めて、
外部の人間がニュースで知る情報だけで
重症度を判断することは不可能なのです

「あの選手も同じケガで出ていた」が
危険な理由

治療院やスポーツ現場で
大きなケガの相談を受けた時、

「有名なあの選手が、知り合いのあの子が、同じケガでもプレーして
いい結果を残していた!」

👇
だからうちの選手も出来ますよね⁉

という風によく言われます

しかしここまで説明してきたように、
同じ”ケガの名前”でも

・ケガの重さは本当に同じ?
・競技しているレベルは?

(人生のかかった
 プロや世界・全国大会レベル?
 将来トップ選手になるために
 練習している?
 日々の楽しみとしてやっている?)
・治療やコンディション作りの
 サポート体制はあるか?
・年齢や身体の強さは?
・将来への影響は?

というように条件が全く違います

本当に守るべきものは何か?

とはいえ、スポーツをやっていて

大事でない試合や大会
なんてない!

保護者や指導者として

ここまで頑張ってきたので
何とか出してあげたい…

という気持ちは痛いほどよく分かります

しかしアマチュアや
成長期・育成年代のアスリートの場合、
トップアスリートのように
目の前のその試合に
人生や生活がかかっている

将来の健康や競技人生をかけてまで
出なければならない

というケースは極めて稀です

例外的にあるとすれば

その先もう競技を続けないと
決めている最後の試合

強行出場の後に
十分な治療期間を確保できる

場合ですが、それでも
重症度や身体の状態によって
判断は全く変わります

必ず医師や専門家の評価をもとに判断しないと

本来より長い治療や
 リハビリが必要になる
・再発を繰り返す
・パフォーマンスが元に戻らない
・競技人生が短くなる、

 終わってしまう
・一生後遺症が残る

という取り返しのつかない結果になりかねません

選手の健康や将来を守るために
決して
感情論で決めてはいけないのです

まとめ

ケガを負った時に、

プレーできるか?
やりたいか?

と聞けば

やります!
いけます!

と言ってしまうのが
アスリートという生き物…

しかし厳しいことを言えば、
こういった
感情論や強行出場の感動的なストーリー
選手の競技人生や健康を守ることは別問題です

もちろんリスクを承知でチャレンジして
素晴らしい結果を出したトップアスリートは
賞賛に値します

しかし、
勇気をもって撤退するのも
選手の未来を守る大事な決断

ということをぜひ
理解しておいて欲しいと思います

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この記事を書いた人

岩手県出身/
「トップアスリートの当たり前」を「みんなの当たり前」に
スポーツ科学を基に、ケガ予防・コンディション作りのための知識からエクササイズまで発信します❗

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