こんにちは!
アスレティックトレーナーズルーム BASE代表の
須川 雄介(すかわ ゆうすけ)です。
このブログでは、スポーツ現場で
アスリートのコンディション作りを
サポートする専門家
”アスレティックトレーナー”が、
アスリートや運動愛好家、また
そのご家族や指導者の方々に役立つ情報を
発信していきます!
第57回からは
高校野球7イニング制と
選手を守る安全管理
について考察します
アスレティックトレーナーの立場から
高校野球「7イニング制」を考える
日本の高校野球では、昨年から
選手の健康対策
(肩・肘のケガ予防、猛暑による熱中症対策)
部員数減少への対策
教員の働き方改革
として、
ことが検討されています
これに対して、少し前に
メジャーリーガーの菊池雄星選手が
このようなツイートをしていました
そこで今回は
スポーツの安全管理やコンディション作りを
サポートする専門家
アスレティックトレーナーの立場から
この変更について考えてみたいと思います
結論から言えば、私も菊池選手と同じく
「どちらかと言えば反対寄り」です
しかしそれは
「伝統がなくなる」「つまらなくなる」といった
感情論ではなく、
7イニング制どうこうより
もっと先にやるべきことがある
と考えるからです
「7回制にしたから」
ケガや熱中症が防げるわけではない
確かに高野連や賛成派の皆さんが言うように、
7イニング制にすれば
身体の負担が減るのは事実です
しかし、
ケガや熱中症予防は
試合当日だけ対策しても意味がありません

正しいコンディション作りが
「試合前に」出来ていなければ
試合の序盤だろうがプレー時間が短くなろうが
ケガや熱中症は起こります

アスレティックトレーナーとして
多くの野球の現場を見てきましたが、
そこで感じるのは

ケガや熱中症の
リスクに耐えるための
スポーツ科学に基づいた
コンディション作りが
正しく広まっていない・
十分行われていない

ケガ・熱中症対策や応急処置を
全選手・全チームが
適切に実施できる
環境やルールが整っていない
肩肘のケガや熱中症が多発してしまう
問題の本質は、
投球数の多さでも
プレー時間の長さでもなく
この2つだと考えています
「試合当日だけ」
対策しても意味がない
例えば熱中症対策は、
2週間以上前から
身体を暑さに慣らす
トレーニング(暑熱馴化)
当日朝から試合後まで、
体温管理と水分・栄養補給を徹底




ここまでやってはじめて
リスクを最大限減らすことが出来ます
(それでも0にはなりませんが…)
「クーリングタイムを取ったから安心!」
ではありません
肩肘のケガに関しても同様です
野球で良く起こる肩肘のケガは
試合で急に痛めるわけではなく
普段の負担の蓄積が
「たまたまその瞬間に」
限界を超えて起こる
ものがほとんどです
(ぶつかった・捻ったなど突発的なケガを除く)
そのため余計な負担の蓄積に繋がる
可動域不足や身体能力不足
余計な負担がかかるフォーム
アップ不足、投球後のケア不足
こういった問題が解決されない限り、
いくら試合でのイニング数や
球数を減らしても
根本的な解決にはなりません
まとめ
高校野球が既存の慣習にとらわれず、
球児や野球に関わる人々の健康や人生を
守ろうとしている今の動きは
非常に素晴らしい歓迎すべきものです
しかし、
「7イニング制にして負担を減らせば
ケガや熱中症の問題は解決する」と
運営側が考えてしまう、または
参加する選手や指導者が誤解してしまうのは
非常に危険です
ここまでに説明してきたように、
ケガや熱中症の問題の本質は
試合が始まるまでの準備不足
だからです
本当に議論すべきは
「何イニングでやるか」ではなく、
安全に試合を行う準備が全員出来ているか
ではないでしょうか?
そこで次回は、その準備をするために
具体的にどのような仕組みを
整えるべきか?
について考えてみたいと思います


