勘違いされがちな熱中症の応急処置②                  ~わきや太ももを冷やしてもダメ⁉~

こんにちは!
アスレティックトレーナーズルーム BASE代表の
須川 雄介(すかわ ゆうすけ)です。

このブログでは、スポーツ現場で
アスリートのコンディション作りをサポートする専門家
”アスレティックトレーナー”が、
アスリートや運動愛好家、また
そのご家族や指導者の方々に役立つ情報を
発信していきます!

第47回も
正しい熱中症の応急処置
について

目次

命に関わる”熱中症”

これから気温が上がってくる時期に
さらに増えてくる熱中症

きちんと予防や応急処置の準備は
出来ていますか?

ニュースなどで話題になるわりに
甘く考えられがちですが、

命に関わる・重い後遺症が残る
可能性がある非常に危険な状態です

このように1分1秒を争う緊急事態ですが、

正しい応急処置や判断基準を
知らない・勘違いしている

必要な準備が出来ていない

ケースが非常に多いです

実際に危険な状況になってから
後悔しても手遅れです!

そこでアスリートのコンディション作りを
サポートする専門家

アスレティックトレーナーが、
正しい熱中症の応急処置について
解説します!

今回は
応急処置の中でも特に重要な

身体の冷やし方について

一刻も早く体温を下げるのが大事

熱中症の応急処置においては、
どれだけ早く体温を下げられるか
非常に重要になります

身体を冷やす応急処置が
1分遅れるごとに
死亡のリスクが高まる

とも言われており、
命の危険や脳・内臓への後遺症を避ける
ためには

10分以内
適切な体温まで下げるのが
理想

と言われています

わきや太もも・首を冷やすのでは
不十分!

熱中症の応急処置や予防対策として
昔から

首・脇の下・
太ももの付け根など
大きな血管を

冷やしなさい!

なんて言われますが、
基本的にこの方法では
応急処置としても
予防対策としても不十分です!

熱中症の時は身体の表面だけでなく
身体の内部の温度も非常に高く
なっていて
これが脳や内臓への深刻なダメージの原因
となりますが…

McDermottら(2009)によると
首・脇の下・太ももの付け根を冷やす方法では

身体内部の温度が下がる
スピードが非常に遅い
(約0.03~0.05℃/分)

・体温が十分下がるまで

1時間以上かかる場合もあり、
応急処置には遅すぎる

ということが言われています

熱中症の時は「全身を冷やす」!

ではどうすればいいのかというと
全身を一度に冷やす方法が
一番効果的です!

基本的は左側のように
全身を氷水に浸ける
方法が一番効果的です
ただしこの方法は
事前に準備していないと出来ないので、
万が一の場合に備えて
他の方法も覚えておきましょう

本来であれば
直腸温という体内の温度を
計測しながら行うのが正しい方法ですが、
専門知識や機材が必要なため

意識がはっきりする

寒がって震えている

肌や白くなったり唇が紫になる

状態まではしっかり身体を冷やしましょう

冷やすための準備が大事

一刻も早く、かつここまで全身を
しっかり冷やすためには
水の温度も非常に重要です
全身を効率よく、安全に冷やすためには
10℃~15℃

適温といわれていますが、

特に夏場は水道水も温まって
20℃を越えている場合も!


そのため適切な温度で身体を冷やすためには
大量の氷が必要になります!

目安としては全身を浸けられる
簡易プールや浴槽(約30ℓ)
であれば
氷3~5㎏必要になるそうです

この他にドリンク用
ケガのアイシング用にも必要と考えれば
かなり大量の氷が必要になります

施設や会場の製氷機が
使えるか確認

牛乳パックや
ペットボトルで
ドリンクや身体を

冷やす専用の氷を作っていく

などしっかり事前に準備しておきましょう!

また全身をしっかり冷水に浸けるために

簡易コンテナビニールプール
なども必要です

これらは応急処置だけでなく
運動前後や休憩時間の体温調節
にも使えるので、
チームや会場でぜひ準備しておきましょう
どうしても手元に無ければ

ブルーシート
代用することもできます

まとめ

このように、以前から言われていることでも
研究や調査が進み
「実は不十分だった、
間違っていた…」

ということはよくあります

またご紹介したように、
正しい方法を知っていても
事前の準備が
キチンと出来ていなければ
適切な応急処置は出来ません

1分1秒を争う緊急事態の中で
一刻も早く命や身体を守る対応が
出来るように備えておきましょう!

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この記事を書いた人

岩手県出身/
「トップアスリートの当たり前」を「みんなの当たり前」に
スポーツ科学を基に、ケガ予防・コンディション作りのための知識からエクササイズまで発信します❗

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