灸治療ってどんなもの?何に効くの?

アスレティックトレーナーズルーム BASE」代表の須川 雄介(すかわ ゆうすけ)
です。
このブログでは、スポーツ現場で選手のコンディションを総合的にサポートする
”アスレティックトレーナー”が、アスリートや運動愛好家、またそのご家族や指導者の方々に役立つ情報を発信していきます!

第19回は、

きゅう(灸)治療

について解説していきます❕

目次

はじめに

 前回の記事で「はり(鍼)治療」について簡単に解説しましたが、

今回は「きゅう(灸)治療」についてご紹介していこうと思います。
ドラッグストアなどでも売っているので、鍼より少し身近に感じる方もいらっしゃると思いますが、
どんなイメージを持っていますか?

身体に良さそうではあるけど良く分からない…

熱いんじゃないの?本当に効くの?何に効くの?

という方も多いと思います。そんな方のために今回は

「きゅう(灸)治療ってどんなもの?何に効くの?」

ということを簡単に解説していきたいと思います。

はり(鍼)治療の方でもお話ししましたが、
はりきゅうは色々なケガや身体の不調に対応できる良い治療法ではあるのですが、
よく分からないまま不安な気持ちで受けると治療効果があまり出なかったり逆効果になる
場合もあります。
(胡散臭く聞こえるかもしれませんが、精神状態が身体の働きにも反映されるので実際に起こりえます)
もちろん人によって合う合わないというのも必ずあるので、
どんな治療なのか?自分の悩みや身体の状態に合うのか?
をまずしっかり把握してから判断してみてください。

きゅう(灸)ってそもそも何もの?

効果などについて説明する前に、そもそもきゅう(灸)って何ものかご存じですか?

お灸はヨモギの葉をすり潰し、不純物を取り除いたもぐさというもので出来ています。
田舎だとその辺に生えていて東京に行った時知らないと言われてビックリした記憶がありますが(笑)、
得体の知れないものではありません。
燃やした時の独特の香りチネオールという成分が揮発したもので、
香り自体にも鎮痛・リラックス効果があります。

きゅう(灸)の施術方法にも様々種類がありますが、これは後ほど詳しく解説します。

透熱灸・知熱灸
温灸(さん灸)
温灸(棒灸)

きゅう(灸)の効果

詳しく説明すればもっと細かく色々な効果があるのですが、それはまた別の記事で詳しく説明します。
イメージとして大まかにこのような効果があるとだけ覚えておいてください❕

きゅう(灸)治療が効くケガ・症状

はり治療の方でも同様の一覧表を出しましたが、

WHO(世界保健機関)がこのような疾患に適応出来るというように声明を発表しています。

神経系疾患
神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・
ヒステリー

運動器系疾患
関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・
外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫)

循環器系疾患
心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ

呼吸器系疾患
気管支炎・喘息・風邪および予防

消化器系疾患
胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾

代謝内分泌系疾患
バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血

生殖、泌尿器系疾患
膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎

婦人科系疾患
更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊

耳鼻咽喉科系疾患
中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎

眼科系疾患
眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい

小児科疾患
小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善

セイリン株式会社 ホームページ より引用

つまり、筋肉や関節など身体の痛み から 内臓・体調の不調 まで
幅広く対応できる可能性があるという事が示唆されています。

病院で受ける治療や薬と比べて、どちらが良いかという話ではありません。
一緒にやって効果が高められる場合もあれば、逆にこのリストに含まれていても
状況によっては受けてはいけない場合もあるので、きちんと専門家に相談しましょう

熱くないの?

皆さんが一番気になる部分ではないでしょうか?
これに関しては、最初の方で説明した方法によって変わってきます。

透熱灸
皮膚の上に直接お灸を乗せて
最後までもぐさを燃やしきる方法。
置く大きさにもよるが、強い熱刺激を与える目的のため

熱さを感じる場合が多い


知熱灸
皮膚の上に直接お灸を乗せて途中で火を消す方法。
患者の気持ちよい程度、熱を感じたところで止めるので、透熱灸ほど極端な熱さは感じない場合が多い。

温灸
棒状のお灸を近づけたり、台座の上でお灸を燃やしたりと、
皮膚とお灸の距離を離して
行う方法。基本的には
ほんわかと熱を感じる程度

温灸に関しては、ドラッグストアなどでも個人で買って行うことも出来ます。

どの方法で行うかは治療の目的や身体の状態によっても変わってきますが、
基本的には強すぎる・熱すぎる刺激は身体によくありません
そのためやってみて、「熱いな…」「刺激がしんどいな…」
と感じた際には、すぐに伝えましょう❕
それを踏まえて刺激量を調節したり別の方法に変えたりしてくれるはずなので
我慢せずに伝えることが重要です。

きゅう(灸)治療を受けてはいけない人

これまでご紹介してきたように様々な症状や不調に対応できるきゅう(灸)治療ですが、
以下の条件に当てはまる人は、きゅう(灸)刺激が健康のリスクになる場合があるため
きゅう(灸)治療を受けてはいけません❕ 注意しましょう

妊娠中(安定期未満)極端な体調不良皮膚疾患ケガの傷口周り
ヨモギアレルギー

もちろん治療前に鍼灸師が責任をもって事前に確認しますが、
患者さんご自身が把握して教えてくださらないと分からないものばかりです。
「面倒だからこれくらいはいいかな…」と思わずに、必ず教えてください。

はり治療のリスク管理

きゅう(灸)治療のリスク管理

はり治療でも説明しましたが、全ての治療は身体の働きを変えるため何がしかの不具合が生じる場合もあります。
しかし、きちんと準備や対応しておけば未然に防げたり最小限に抑えることが出来ます。

我々鍼灸師も最大限気を付けて行いますが、事前の情報の聞き取りや治療を受けている際の体調変化を知らせていただくなど患者さんのご協力が必要なものも多々あります。
事前にそういうものがあるんだと知っておいていただけると施術者側も大変助かります。

まとめ

今回はきゅう(灸)治療の概要について解説しましたが、いかがだったでしょうか?
きゅう(灸)に限らず、どんな治療にも相性があります。
誰かにとっての正解の治療が、あなたにとっても良いものとは限りません。
しかし治療を得体のしれないものとして敬遠するのではなく
どんなものかを分かった上で判断して
自分に合うものを見つけるために色々試してみて欲しいと思います。

特にきゅう(灸)は市販している物もあり、気軽に試せる治療でもあります。
より安全・効果的に行うためには我々鍼灸師に相談していただくのが望ましいですが、
まずはどんなものか簡単に試してみるのもよいかもしれませんね!

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この記事を書いた人

岩手県出身/
「トップアスリートの当たり前」を「みんなの当たり前」に
スポーツ科学を基に、ケガ予防・コンディション作りのための知識からエクササイズまで発信します❗

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