運動・スポーツに復帰するためのリハビリって何故やらなければいけないの?

「アスレティックトレーナーズルーム BASE」代表の須川 雄介(すかわ ゆうすけ)です。
このブログでは、スポーツ現場で選手のコンディションを総合的にサポートする”アスレティックトレーナー”が、アスリートや運動愛好家、またそのご家族や指導者の方々に役立つ情報を発信していきます!

第5回の今回は、
運動・スポーツに復帰するためのリハビリ(アスレティックリハビリテーション)の具体的な流れについて説明する前に、
そもそも何故そのリハビリが必要なの?

という事について解説します!

目次

運動・スポーツに復帰するためのリハビリ

前回の記事で、ケガや不調の後にはまず「日常生活に戻るためのリハビリ」(メディカルリハビリテーション)を行うことをご説明しましたが、

運動やスポーツをする場合はこれだけでは不十分で、スポーツの世界ではさらに
運動・スポーツに復帰するためのリハビリ(アスレティックリハビリテーション)
が必要です。これは何も大会や試合に出る競技レベルに限った話ではなく、
レクリエーションレベルや健康維持のための軽い運動の場合でも同様です。
どんな事をやるかというと、

アスレティックリハビリテーション
・身体の機能評価をして、そのケガや症状の原因となった問題点の抽出、改善
(筋力・可動域・持久力・反応・身体の使い方 など)
・スポーツや運動の負荷に耐えうる関節可動域・安定性・筋力の改善
・実際の競技の負荷に段階的に近づけて身体をプレーできる状態に戻す

では、なぜこのようなリハビリテーションが改めて必要なのでしょうか?

よくある復帰失敗のパターン

 「リハビリを2種類もやるなんて面倒だし大変だよ!」という声が聞こえてきそうです。
 実際皆さんはケガの後、こんな感じで運動やスポーツを再開していないでしょうか?

痛くなくなったから再開しよう❕

病院では痛くなくなったら動いていいと言われたから、
もう100%動いて大丈夫だ❕

テーピングやサポーターをしていれば
とりあえず痛くないから大丈夫❕

これでうまくいくことも全くないとは言えませんが、多くの場合は次のような問題に直面します。

・再開してすぐ痛みが戻ってしまった
・軽減はしたが痛みや違和感がずっと残っている

・痛くはなくなったが、以前と同じような動きやプレーが出来なくなった
・同じようなケガや症状を定期的に繰り返してしまう
・他の部分のケガや不調が増えた

何故なのでしょうか?

痛みや症状が無くなった=治った ではない

 それは
そのケガや症状の根本的な原因(筋力?柔軟性?持久力?反応?身体の使い方?)
が解決されていない
という事が考えられます。痛めた直後は強い痛みや腫れ・熱感などが出ますが、きちんとテーピングやサポーターなどで安静にしたり治療院などで正しい処置が出来ていれば、炎症が収まるにつれてその痛みや症状は軽減していきます。しかしそれだけでは対応としては不十分です。それぞれ理由を見ていきましょう。

・再開してすぐ痛みが戻ってしまった
・軽減はしたが痛みや違和感がずっと残っている

これは患部が
動きや荷重の負荷・負担の繰り返しに十分に耐えられる状態でない
という事が考えられます。安静や固定などは初期の強い炎症を抑えるために必要不可欠ですが、どうしても関節の可動域や
周囲の筋力は低下してしまいます。痛みの軽減はあくまで炎症や損傷が収まってきた(まだ100%ではない)という事を示しますが、低下した筋力や柔軟性はそのままです。この状態でいつも通りに動いてしまうと、
・いつもであれば耐えられた負荷でも耐えられない
・1回の動きは問題なくても繰り返しの負荷に耐えられない

という事になるため、復帰前と同程度かそれ以上に改善しておく必要があります。

・痛くはなくなったが、以前と同じような動きやプレーが出来なくなった
・他の部分のケガや不調が増えた

これは患部の
可動域や動かし方・身体の使い方が取り戻せていない
という事が考えられます。上で書いたような柔軟性や支える筋力はもちろん、痛みが強い時にやっていたかばうような動きが癖になってしまっていたり、本来の動かし方を身体が忘れてしまっている場合があります。メディカルリハビリテーションで日常生活に支障のないレベルにはなっている筈です。しかし運動やスポーツではより大きな柔軟性や精密な動きが必要になり、さらに競技特有の体力や動きが求められるため、それに見合った動きが出来るようにしなければ自分本来の動きが出来なかったり、かばった他の部分のケガや不調につながってしまう可能性が高まります。

・同じようなケガや症状を定期的に繰り返してしまう

このパターンでは、
痛める前や痛めた後のそもそもの負担の掛かり方が良くない
という場合が多いです。筋力や柔軟性・動かし方などが自分本来の状態に戻せていたとしても、そもそもの筋力や柔軟性などが十分でなかったり、負担の掛かりやすい使い方であれば意味がありません。この場合も不足している体力要素や
身体の使い方・フォームなどを見直すことにより、身体にかかる負担の状態を改善する必要があります。

まとめ

以上の事を踏まえて、
日常生活以上の、またそのスポーツや運動に特有の動きや負荷に耐えられる身体の状態を作る
ことを目指すのがアスレティックリハビリテーションです。
あまり馴染みの無い概念かもしれませんが、重要性は分かっていただけたでしょうか?
プロスポーツ選手のケガの報道などで、イメージよりも復帰時期が長く言われるのはこのためでもあります。
次回はその具体的な流れを解説していきます❕

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この記事を書いた人

岩手県出身/
「トップアスリートの当たり前」を「みんなの当たり前」に
スポーツ科学を基に、ケガ予防・コンディション作りのための知識からエクササイズまで発信します❗

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