クールダウン~理論編~

「アスレティックトレーナーズルーム BASE」代表の須川 雄介(すかわ ゆうすけ)
です。
このブログでは、スポーツ現場で選手のコンディションを総合的にサポートする
”アスレティックトレーナーが、アスリートや運動愛好家、またそのご家族や指導者の方々に役立つ情報を発信していきます!

第12回は、
クールダウンの理論と重要性
について解説します!

目次

ウォーミングアップと同じくらい重要

前回までで、ウォーミングアップの重要性を解説しましたが、

それと同じくらい重要なのが練習・試合後のクールダウンです。
しかしウォーミングアップをしっかりやっていても、このクールダウンはおろそかにされがちな印象があります。
よく聞くのが、

練習・試合が終わった❕ 

という高揚感でついつい忘れてしまったり、

疲れた、めんどくさい、時間が無い…

と言ってサボっていませんか?
自分がこれまで色々なカテゴリーのアスリートを見てきて、
「意識の差が顕著に出るな」と思う一つがこの動いた後の身体のケアです
まずは

何のためにやるのか?
何をしなければならないのか?
やらないとどうなってしまうのか?
自分をどういう状態に持っていかなければならないのか?

を把握して、しっかり取り組めるようにしましょう❕

クールダウンの目的と効果

クールダウンの目的は2つ

疲労回復 ケガの予防

となるわけですが、ウォーミングアップの時と同様に大事なのは
クールダウンによって身体をどういう状態にしたらこの目的が達成できるのか?
ということです。

という大きく分けて4つになります。それぞれ確認していきましょう❕

筋肉や内臓に栄養や酸素をしっかりと届ける

運動を開始すると、その強度が上がるにつれて心拍数が増え
活動している筋肉により多くの血液を送ろうとします。

血流は


心臓の拍動によって
動脈を通じて酸素や栄養素を筋肉や臓器に届け


筋の収縮によって

静脈を通じて疲労物質や老廃物を回収して
再び心臓へと送られます
が、



運動を止めても、
しばらくの間は心臓から血液は送り続けられます。

一方激しい運動が終了していると
心臓に血液を送り返すポンプ機能となる筋の収縮があまり起きないため

筋肉内に血液が溜まりすぎてしまい、
疲労物質の除去 回復のための栄養・酸素の補給
がうまくいかなくなってしまいます。

クールダウンで徐々に運動の強度を下げていくことで、
ゆっくりと血流を正常に戻し、血圧や呼吸、血行を回復させていきます。

疲労物質を 使って 減らす

疲労物質といえば一番有名なのは乳酸ではないでしょうか?
他には 二酸化炭素 アンモニア 水素 などが挙げられます。

とかく悪者扱いされがち乳酸ですが、

ジョギングのようなゆっくりした運動では
エネルギー源として使用される

大事なものになります。



ただし量が増えすぎたり筋肉内にたまりすぎる

 乳酸と同時に水素イオンが大量に産生される
ATP(体内で使うエネルギー源)の再合成を邪魔する
           
 筋肉が酸性状態になり収縮力が下がる

という状態になり、筋肉の機能を低下させてしまいます。
そこで軽いジョギングなど
エネルギーとして消費 尿や呼吸で外に出す
ことによって、体内に過剰にそれらの物質が蓄積してしまわないようにします。

身体を 回復モード に切り替える

ウォーミングアップや激しい運動により
身体は交感神経の働きが強くなってアドレナリンが分泌され、

心拍数・血圧上昇
呼吸数増加
エネルギー利用の増大

などが起きていますが、これらは

日常で起こる以上の運動をするために
一時的に身体の機能を高めている

状態であるため、長時間続くと身体に負担になってしまいます。
例)めまい 吐き気 失神 過呼吸 不眠 など
もっとわかりやすく言うなら、こちら(笑)

「ONE PIECE」第388話より引用
「ONE PIECE」第1045話より引用


しかし運動中に大量に分泌されたアドレナリンが通常状態に戻るまでには
1~数時間かかると言われているため、
興奮状態が落ち着いて回復するための身体の状態(副交感神経優位)
になるまで時間が掛かってしまいます。

しかしクールダウンの軽い運動を行うことによって

身体の興奮状態を収める アドレナリンなどのホルモンバランスを整える 

精神的に落ち着かせる

ことで、いち早く身体を回復モードに移行できます。

筋肉や身体のバランスを正しく戻す

これは一番イメージしやすいでしょう
たくさん使った筋肉は疲労などで緊張が高まっています。
また運動はどうしても使う部位や動きに偏りが出るため、
正常な状態からバランスが崩れてしまっている 場合が多いです。

ストレッチなどを行うことにより
筋肉の柔軟性回復 関節可動域の向上

を目指します。これは
運動直後の体温の高い状態
の方が効果を出しやすいため、可能な限り時間を空けずに行いたいですね❕

まとめ

重要性は理解していただけたでしょうか?
学生の若い年代は回復力も高く、
やらなくても疲労を感じないで終われてしまう選手も多いかもしれません。
しかし、自分が感じている身体の感覚と実際の疲労度やコンディションは違うものです。
特に途中で解説したアドレナリンで興奮状態の時は疲労や痛みを感じにくくなっています。
「家に帰ってから急に疲れや痛みが出た…」では遅いですし、
クセづけられていないと、そこから長く運動を続けていった時
いつか必ずケガや不調という形でツケが来ます。
改めて 何のためにやるのか? をしっかり認識して、習慣づけましょう❕

次回は、実際にどのような流れで行えば良いのかを具体的に解説していきます❕

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この記事を書いた人

岩手県出身/
「トップアスリートの当たり前」を「みんなの当たり前」に
スポーツ科学を基に、ケガ予防・コンディション作りのための知識からエクササイズまで発信します❗

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